製菓材料 株式会社イシハラ

原材料基礎講座 ゼラチン

日本で消費されるゼラチンは、年間約2万トン。
その用途は多彩で、私たちが気づかない、さまざまな所で、ゼラチンは私たちの生活を支えています。

 


 

ゼラチンって何?

「ゼラチン」は動物の骨や皮の中に含まれるタンパク質を熱水で抽出したもので冷たいデザート類を作る時に用いられる「ゲル化剤」の一種です。
非常に口当たりが良く、独特な柔軟性をもっているので、ゼリーやババロワなど、お菓子の中でも特にデリケートなデザート類を作る場合に好んで用いらます。
「ゼラチン」は加熱すれば溶解してゾルとなり、冷却すると凝固してゲルとなります。しかも、ゾルゲル変化を可逆的に行う性質をもっています。つまり、液状からゼリー状、ゼリー状から液状に必要に応じて容易に変化させることができる大きな特長があります。
「ゼラチン」は動物の皮や骨に含まれている主要タンパク質であるコラーゲンよりつくられています。ゼラチン中のタンパク質は18種のアミノ酸で構成され、トリプトファンを除くすべての必須アミノ酸を含みます。

 


 

ゼラチンとコラーゲン

近年、コラーゲンを食べることによる健康、美容効果が話題となっていますが、一般に、食品市場で呼ばれる「コラーゲン」とは「ゼラチン」もしくはゼラチンを低分子化した「コラーゲンペプチド」のことであり、分子レベルに違いがあるものの、食品として摂取する分には同じと考えてかまいません。

● ゼラチンは美容にいい?
皮膚の70%はコラーゲンでできています。コラーゲンが肌の水分を抱え込んで、潤いを保っています。新陳代謝を良くするにもコラーゲンを補うのが早い道です。
最近はコラーゲン入りの化粧品が多く出回っていますが、やはり体内から補うのが一番です。
● 骨にもいい?
コラーゲンは骨を作るカルシウム同士をつなげたり、骨細胞をつないだりします。
歯や軟骨、ひじ、ひざの関節、背骨の推間板にも多くのコラーゲンがあり、身体を柔軟に動かすことに役立っています。
お菓子用のゼラチンはどんなものがいい?
ゼラチンの製造工程

 


 

ゼラチン Q&A

Q. ゼラチンでパイナップルゼリーを作ることができないのはなぜ?
A. 「ゼラチン」は動物の骨や皮の中に含まれるタンパク質を熱水で抽出したものです。ですから、ゼラチンを溶かした液体に、タンパク質を分解するような物質を添加すると、ゼラチン分子が切断され、凝固する能力を失ってしまいます。
パイナップルには「ブロメリン」という「タンパク質分解酵素」が含まれており、この「ブロメリン」がゼラチンをバラバラに分解し、いくら冷やしても固まらなくしてしまいます。
その他にも、パパイヤやキウイ・イチヂクなどにも「タンパク質分解酵素」が含まれています。

 

Q. 「タンパク質分解酵素」が含まれた果実でゼリーやババロワを作るには?
A. ま ず、果実や果肉に火を通して分解酵素の働きを失活させ、その後にゼラチンと混ぜ合わせます。場合によっては、すでに加熱処理が済んでいる缶詰や瓶詰を利用 します。どうしても生の果肉を混ぜ込まなくてはいけない場合には、あらかじめ他のゲル化剤で果肉の表面を保護しておいてから、ゼラチン液に加えるという方 法があります。
※なお、「ゼラチン」はタンパク質分解酵素だけではなく、強い「酸」や「熱」によっても変性を起こしたり、分解されたりする性質を持っています。ですから、酸味の強いレモン等をゼラチンに加える時には、混ぜ合わせるタイミングや温度などに充分注意する必要があります。

 


 

ゼラチン活用事例

お惣菜の長期保存

肉じゃがやスパゲティ、リゾット、マーボー豆腐などにゼラチンを加えて冷凍保存すると、味覚を極力損なわず、しかも調理直後と同様の食感を味わえます。このような惣菜の長期保存に、ゼラチンが活用されています。

ゼラチンを利用すると…
● つゆがゲル化するため、流通時や持ち帰り時に液がこぼれません。
● 惣菜の型がくずれを防ぎます。
● 具材へ水分が移行しないので、煮汁などがしみ込み過ぎず、味が濃くなりません。
● 盛り付け時の美しさを保ち、テリ・艶だしにも効果があります。
● 品質保持に役立つ、つまり作りたての食感を保ちます。

 

嚥下障害患者の食事
嚥下障害とは、気道と食道の弁の切り替えがうまくいかず、食物がうまく飲み込めない、あるいは気道に食物を詰めてします恐れのある障害のことで、高齢者や脳卒中経験者に多く見られます。
硬いものはもちろん、水分もうまく飲み込めないため、肺炎の原因になったり、病状を悪化させたりする恐れがあります。
ゼラチンを混ぜた嚥下食が、今、嚥下障害患者のリハビリ食として注目を集めています。ゼラチンのもつ特性・粘弾性、流動特性、破断特性、付着性などがこの嚥下食にぴったりなのです。

 

薬とゼラチン
薬が入っている透明、あるいは色つきのカプセル。実はそのカプセルにも、ゼラチンが使われています。ゼラチンの特性の一つである、皮膜形成能を活用しているのです。
カプセルには、ハードカプセルとソフトカプセルがあります。ハードカプセルは主に粉を封じ込めるために使われ、ソフトカプセルは油溶性の物質などを封じ込めるために使われています。
ゼラチンの皮膜はガスバリア性が高く、中に閉じ込めたものを酸化から防ぐことができるのです。このため特に、酸素にふれると分解しやすい脂溶性ビタミンな どを加工する際にソフトカプセルがよく使用されています。また、ゼラチンは、湿布剤や止血剤、注射薬の基材としても重要な役割を果たしています。

 

フィルム
写真のフィルムやレントゲンフィルム、印画紙などの感光材料の結合剤として、ゼラチンは、最も好ましい性質をもちます。そのため、写真技術の分野においても、欠かせません。