製菓材料 株式会社イシハラ

原材料基礎講座 寒天

原料

寒天の原料は紅藻類で、主として天草、オゴノリ、オバクサ、伊谷草等が使われている。天草の主産地は日本、モロッコ、チリ、韓国、スペインなどである。オ ゴノリの主産地はチリ、南アフリカ、アルゼンチン、日本等である。現在、天草の養殖はないが、オゴノリの養殖はチリ、台湾、ベトナム、中国などで行われて いる。

 


 

寒天の歴史

寒天製造の歴史は古く、約350年前に遡る。
天草類を煮て得た液を固めてトコロテンとして食用にしたのは、さらに昔の平安朝の時代であったと記されているが、干物状の寒天が発明されたのは徳川4代将軍家綱の時代である。
ある冬のこと、山城国伏見(京都)の美濃屋太郎左衛門方で、参勤交代の途にある薩摩藩主島津公の御休泊の栄に浴したことがあった。同家は各種の品々で饗応 をなしたが、その中に天草を煮てつくったトコロテン料理があった。その際残ったトコロテンを庭に捨ておいたところ厳寒期のため、これが凍結し、日中自然に 融解し、乾燥し白い美しい乾物となった。太郎左衛門は不思議に思いこれを煮てみると元のトコロテンになることを発見し、種々研究の結果寒天の製造を確立し たと伝えられる。
その後摂津(大阪)の住人宮田半兵衛が更に製法の改良を行い、大阪、京都、兵庫の山間部へと広がっていった。信州に於ける角寒天製造の始まりは、天保年間と伝えられ、小林粂佐衛門の功績が伝えられている。
第二次世界大戦前、寒天は我が国特有の重要な輸出水産物であって、その用途に細菌培地があることから、戦中寒天の輸出が戦略的意昧合いから禁止された。 困った諸外国は自力による寒天の製造を試み、気象条件の異なる諸外国は天然の寒さに頼らない工業的製法の粉末寒天の製法を編み出した。
これが粉末寒天の始まりで、我が国においても昭和21年頃より研究が行われ、次第に工場が増加し、昭和45年頃には35社の多きを数えるようになった。し かし、原料の入手難や、製造技術の未熟さから多くの企菜が廃業や倒産に追い込まれ現存しているメーカーは僅か7社のみである。
一方、海外での生産国は良質な原藻産出国であるモロッコ、ポルトガル、スペイン等で次第に盛んになり、日本の指導によってチリーやアルゼンチンでも良質の寒天が造られるようになった。全世界の生産量は推定8500トン、角寒天は400トン内外にすぎない。

 


 

寒天はからだにやさしい・・・

海藻類には食物繊維がたっぷり含まれており、科学技術庁から発表された食品227品目の食物繊維含有量の、ベスト5のうち、4品目までが海藻類で、その一位が寒天なのである。
食物繊維には、血圧やコレステロ一ル、血糖値を低下させ、肥満を防ぐ、便秘を解消する、大腸ガンを予防するなどの生理機能がある。

 


 

寒天の形態

粉末寒天  高純度で品質均一。作業性に優れている。
 フレーク寒天  保水性が高い。品質均一、不完全な攪拌でも沈殿しないので焦げ付きがない。
 固形寒天  計量不要、裏漉し不要、品質均一。
 角寒天(棒寒天)  水漬けも裏漉しも必要。低強度。品質不均一。家庭料理用。
 糸寒天  和菓子用。水漬けも裏漉しも必要。保水性、食感等のバランス良。

 


 

寒天の使いみちは?

伝統的に作られてきた角寒天や糸寒天は、水戻しや裏ごしが必要であったが、粉末タイプの寒天が作られるようになってからは、水戻しや裏ごしが不要でとっても便利になり、利用分野もぐんと広がった。
お菓子やお料理だけではなく、ヨーグルトやアイスクリームの品質の安定性を高めるためや、麺類のつなぎ、佃煮などの品質改良などにも使用されるようになり、また、食品以外の分野では、培地用や、歯科治療で歯形をとる材料などに使われている。
この他、飲み込んだり、噛み砕いたりする機能の低下した人でも、寒天でやわらかく固めると、お茶やお味僧汁でもむせることなく食せるので、病人や高齢者のメニユーにも利用される。

 


 

特徴と注意点

● 寒天は酸に非常に弱く酸味の強い果汁などを加えて熱すると、劣化してしまうので注意が必要。
 寒天を充分に煮溶かしておいて、ある程度の粗熱を取ったもの(80度以下)に、手早く混ぜ込むようにしなければならない。
● 寒天で作ったお菓子は水分が分離しやすいので、砂糖を多量に加えて出来るだけ、ゲルの保水性を高めるようにする。
● 寒天が完全に溶解するには沸騰後5分から10分煮沸する必要がある。

 


 

寒天とゼラチンはどう違うの?

寒天と同様にデザートによく使われ、冷やすと固まるものに、ゼラチンがある。
寒天が植物性でノンカロリーであるのに対して、ゼラチンは動物性で、主に牛の骨・皮または豚皮を原料とし、成分の80%以上がタンパク質でカロリーもあり、性質はまったく異なるものである。
お菓子に使用する濃度の場合、寒天は常温では溶けないが、ゼラチンは溶ける。
ですからゼラチンで作ったぜりーは口溶けがよく、寒天とは少し食感が異なる。

資料提供:伊那食品工業株式会社:タイトー海藻株式会社